根尖病巣(歯の根の先に出来る病気)は、すべての病気が完治
するのではなく、治りにくい難症例も存在するのです。この難症例
について、私なりの見解と治療方針を述べたいと思います。
溶けてしまった歯の根の先の骨が再生するには、病気の回りに
骨(歯槽骨)がないと新しい骨も作られないのです。すなわち、
歯周病でグラグラになった歯(歯の回りには骨がありません)に、
根管治療を施しても骨の再生は望めません。また、歯槽骨がもともと
薄く、根の先が骨から飛び出しているケース(フェネストレーション)の
根尖病巣も、根の先の回りに骨がないため、通常の治療では骨の再生
は望めません。この様なケース(上の前歯で見られます)はごく稀なのですが、
歯の根の先を骨の中に移動させたり、根の先を短くし骨が再生しやすい
環境に変えてあげると、根尖病巣は治癒します。その他にも、根尖病巣を
上皮でできた袋(歯根膿胞)が覆っている様なケースも、袋を取る手術を
併用しないと治らない事もあります。
以上が根管治療の難症例のうち、「骨を再生させる骨がない」と言う
理由によるケースと考えております。
沢田歯科医院 院長
沢田 明義